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「赤いアモーレ」(Non ti muovere) 2004年イタリア/セルジオ・カステリット監督 私は悪口言うのがあんまり得意ではない。言うと、こてんぱんにやっつけてし まうから。ほどよく、言われた方も笑えるようなさっぱりした批判をしたいの だけれど、難しい。んなわけで、自分の好きじゃない作品は取り上げない。こ れは、好きとは言えないし、でも語りようによってはどうにかなるかも、どう しようかなと迷った作品。 パッケージから官能ものかと思ったが、官能ものというよりは純愛ものだった。 ものすごく男に都合のいい女がいて、男が身勝手にナルシシズムに浸る。女に は忠告するうるさい女友達もいない、家族もない、ただただ男を待っている。 男には家庭が。 その都合のよさに驚いたのだけれど、特典メニューなどを見ると、都合のいい 身勝手さは、そういう男を描いたんであって、そこに文句をつけても仕方ない らしい。なるほど、身勝手な男の悲しい話として考えてみればいいのか、と思っ たが、それでもやっぱりのれなかった。 印象的な色づかいなど、映像は好きになれたのに、残念。 歯並びをちょっとガタガタにして、化粧を下品にすると、ペネロペ・クルスが あんなに不細工になるというのは驚き。 |
「父、帰る」(Возвращение) 2003年ロシア/アンドレイ・ズビャギンツェフ監督 私は見栄っ張りである。だから、ちょっと「アート系」な映画を観て「わかん なかった」とは言いたくない。センス悪そうに見えるのイヤじゃない? だか らがんばって取り上げてみたかったんだけど。 突然帰ってきた父が、最後まで、なんで、どこから帰ってきたのかわからない、 というストーリーの不透明さだけでなく、父という権力に対する息子の並々な らない反抗、なぜ、あえて、この不透明な伝え方を作り手が選んだのか、んー、 告白すると、これら全部、わかんなかった。よくわかった点は、子役を含めて 役者の演技がいいな、ということ。 よくわからずに、わかったふりして書くなんて、つまらない。ふだん書いてい るのだって「わかったつもり」に過ぎないから大差ないのかも知れないけれど。 よくわかんなかったものは、これからも取り上げない、と思う。 |
「ひなぎく」(Sedmikrasky) 1966年チェコスロヴァキア/ヴェラ・ヒティロヴァ監督 わかんなかったと言えば、これもそう。知る人ぞ知る名作キッチュ映画という ことになっているらしい。「父、帰る」に比べると(比較するのもおかしいん だけど、上からの流れがあるので)観ているあいだは、楽しめた。だけどもこ れについて何か書くというほどには、よくわかんなかった。 何しろ見栄っ張りなので、わかんなかった話はもうおしまい。 |
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「イン・ディス・ワールド」(In This World) 2002年イギリス/マイケル・ウィンターボトム監督 「欧州映画紀行」やってるからヨーロッパ映画しか観ないの? と訊かれるこ とがあるけれど、もちろんそんなことない。アメリカ映画もアジア映画も観る。 欧州の映画を観る数が多いのは確かだけれど、メルマガの「コンセプト」とし て「欧州映画」を取り上げることにしているだけ。欧州映画至上主義でも(た ぶん)ない。 この監督はお気に入りの映画作家の1人で、この作品もおすすめ。しかし、こ れはイギリス映画とは言え、パキスタンの難民キャンプから、ヨーロッパに向 かう少年を追った作品で、舞台の大半はアジアである。<イン・ディス・ワー ルド>、この世界にはこんな風に生き、暮らす人たちがいると知らしめてくれ る、胸に迫る物語だが、「欧州映画紀行」のコンセプトとしては、残念ながら 合わない。同じ監督のボスニア内戦をテーマにした「ウェルカム・トウ・サラ エボ」の方を取り上げたのだった。 |
「ロング・エンゲージメント」(Un long dimanche de fiancailles) 2004年フランス/ジャン=ピエール・ジュネ監督 これは、取り上げなかったのではなく、取り上げようと思っているうちに時間 が経ってしまい現在に至る作品。 「欧州映画紀行」はヨーロッパの映画を取り上げることをコンセプトとしてい る、とエラそうに言ったって、悩むときもある。そもそも国籍で映画をジャン ルわけしたり、そのことをコンセプトとか言うことに、どれだけの意味がある のかね、と自問する時もあるのだ。 そんなとき、この映画が、出資会社の関係で、フランス人スタッフと俳優の作っ たフランス語の映画であるにも拘わらず、アメリカ映画と認定されかけた、と いう話を聞いた。 悩める「欧州映画紀行」筆者としては、ちょっと追求してみたい問題だ。コラ ム欄でそのことを書いてみようかと、資料を探しているうちに、すっかり何ヶ 月か経ってしまった。アメリカ映画に認定されたときの報道は目にしたけれど、 なぜそれがまた結局フランス映画に落ちついたのか、その経緯を書いたものが 見つからないままになってしまっている。 「アメリ」のジュネ監督とオドレイ・トトゥ主演。ミステリアスな物語展開と、 おとぎ話のような映像世界、そしてトトゥが演じる意志の強い女性の力、魅力 的な作品だから、まだ取り上げてないけれど、ここで強くおすすめしておこう。 |
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