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欧 州 映 画 紀 行
                 No.095
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「ここじゃない何処か」に行ってしまいたい、あなたのための映画案内。
週末は、ビデオ鑑賞でヨーロッパに逃避旅行しませんか?
フランス映画を中心に、おすすめの欧州映画をご紹介いたします。

★ さて趣向を変えて、90分の恋のドラマは? ★

作品はこちら
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タイトル:『フェリックスとローラ』
製作:フランス/2001年
原題:Félix et Lola 英語題:Felix and Lola

監督・共同脚本:パトリス・ルコント (Patrice Leconte)
出演:シャルロット・ゲンズブール、フィリップ・トレトン、
   アラン・バシュング
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■STORY&COMMENT
フェリックスは移動遊園地のバンパーカー・コーナーで働いている。ある日、
多くの人がはしゃぎながら車をぶつけあって遊ぶ中、無表情にひたすらバンパー
カーに乗る女に気づき、目が離せなくなった。
遊園地のカフェで彼女に出会うと、彼女の方から「私を雇わない?」と尋ねら
れる。すぐに採用を決めたフェリックス。彼は、その女性ローラに本気で恋を
しはじめるが、ローラはどうも誰かに追われているようだ。

哀しげな表情を浮かべ、過去を語ろうとしないローラ。彼女をよく知らないま
ま、それともミステリアスだからよけいに、なのか、彼女にどんどん惚れ込ん
でいくフェリックス。
不思議な恋だけれど、初々しい恋人たちを見守るのは心が浮き立つ。移動遊園
地の仲間たちの、フェリックスの恋を我が事のように喜ぶ姿が、ちょうど観客
の心の内に重なるように思う。

何かに怯え、何かから逃げているらしいローラと、彼女に夢中になっているフェ
リックスの愛は、このまま続くのか。
続いてくれと願いつつも、辛い展開になっていくのか。最後まで目が離せない。

見終わったら、遊園地に行きたくなる。それも、世界最大級のナントカカント
カがあるりっぱなやつじゃなくて、子供だましのゲームがにぎやかに並んだ、
お祭りの屋台をほうふつとさせるような、庶民的なやつ。
素敵な出会いや、日常の憂さを払拭するきっかけは、案外、ごくふつうの、
ちょっとばかししょぼい、遊園地辺りにあるのかも。

■COLUMN
連日のサッカー観戦で寝不足の方も多い一方、なんでまたこうサッカーばっか
りで騒いでるんだとユーウツになっている方も多いこのご時世、私はと言えば、
いやー、大変ですよ、毎日毎日、1日3試合もサッカー見るのは。

夜10時からの試合を見て、お風呂に入って1時からの試合を見て3時過ぎに就
寝。4時からの試合はビデオにとって、朝起きて見る。テレビにしてもインター
ネットにしても、不用意にここでニュースなんぞを見たりすれば、結果を言わ
れかねないから、朝起きたらまず試合のビデオをチェック。
私はスポーツライターか何かだったろうか。

フリーランスだからこそできるこのスケジュール。ビバ!フリー!(単なるヒ
マ人の意味もあり)
しかし、この暮らしを1週間もやったらいいかげん疲れた。そろそろ休みが欲
しいなとさっきスケジュールを調べたけれど、28日まで休みがないようだ。
くわーっ。
毎日タイトな試合を見るのは楽しいけれど、体力も気力も必要。起きるのは喜
ばしいことばかりじゃないし、素敵な楽しみと苦難をいっぺんに背負ったよう
なこの頃だ。

この作品の上映時間はサッカー1試合と同じほぼ90分。途中休憩はないから、
ハーフタイムをごっそり抜いてビデオでチェックするときと、まあ同じくらい
の感覚だ。

今ワールドカップでは、強豪国と言われるチームが早々と先制して、そのまま
危なげなくきっちり勝っていく、なんていう(私の感覚では)イマイチな試合
もちらほら。
この作品は、立ち上がりから山場が訪れて、そのまま安定するかに見えてまた
態勢が変わり、80分を過ぎてもまだまだどっちに転ぶかわからなくて、最後ま
でずっと引きつけられて、物語が終われば、しみじみと感傷に浸ることも
(そうしたい人には)できる。

いくつかのラッキーと、長い時間に背負ってきたそれぞれの物語と歴史があり、
笑顔もあれば、あわてふためく瞬間もある。争いもあり、喜び合うこともあり、
一緒に悲しんだり喜んだりする大勢の第三者がいて、辛い思いをする人がいれ
ば、傍らで笑う人がいる。

こんなご時世だから、ちょっと目先を変えた「90分のドラマ」として観てみる
のもいい。


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編集・発行:あんどうちよ

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