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欧 州 映 画 紀 行
                No.123.25   07.03.08配信
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「ここじゃない何処か」に行ってしまいたい、あなたのための映画案内。
週末は、ビデオ鑑賞でヨーロッパに逃避旅行しませんか?
フランス映画を中心に、おすすめの欧州映画をご紹介いたします。

と、始めたいところですが、今週は紹介作品が、決まらなーい。
DVDで2作品を観ました。タイトルは言いません。内緒です(笑)。
ちょっとほっこりできて面白いけれど、それ以上何か語ろうって気にはならな
い作品と、面白くない訳じゃないけれど、お昼のメロドラマの原案にはちょう
どいいんじゃないかと冷めた目で観てしまった作品。

もう木曜になっちゃった。ありゃりゃ困ったな。

でも考えてみたら、今週はいい映画を観なかった訳じゃない。
「おうちでビデオ鑑賞」というコンセプトからは外れるけれど、試写会と劇場
で観た2作品の感想を書くことにした、今週は番外編です。

作品はこちら・1
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タイトル:『サン・ジャックへの道』
製作:フランス/2005年
原題:Saint-Jacques... La Mecque 英語題:不明

監督・脚本:コリーヌ・セロー(Coline Serreau)
出演:ミュリエル・ロバン、ルチュス・ド・パンゲルン 、
   ジャン=ピエール・ダルッサン、マリー・ビュネル、
   パスカル・レジティミュス
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■STORY&COMMENT
母の遺産相続の条件は、3兄弟で一緒に聖地サン・ジャックまで1500キロの巡
礼路を歩くこと。無神論者で歩くことなど大嫌い、その上ケンカばかりの兄弟
が、巡礼の旅に出た。2ヶ月間、ともに旅するグループは、ガイドを入れて9
人。イスラムの「聖地」メッカに行くんだと信じているアラブ系少年や、どこ
か訳ありな女性など、個性豊かな面々との道中はいかに?

「歩く」というのはシンプルで日常的な行動のはずなんだけど、いろんなこと
で忙しくなっている現代人には、究極の非日常。その「異世界」で、登場人物
たちがちょっとずつ変化していく姿が頼もしい。
だからと言って“「歩き」で自分の人生を切り拓く”みたいな説教臭さはなくっ
て、弱いところわがままなところ、それぞれ持ってるダメなところは、いい感
じで尊重してくれる。

自分の2本の足で地面を踏みしめて、一歩一歩進んでいくっていうのは、ただ
疲れるだけじゃない何かをもたらすんだろう。そして、道中の美しい自然や、
逆にスペイン側に渡った後の、気が遠くなるような荒涼とした大地、立ち寄る
小さな町にある荘厳な建物等々、途中の風景を眺めれば、「巡礼の旅」にも憧
れる。
しかし1500キロ。2ヶ月……、うーん、一日とか一泊お気軽体験ツアーだった
ら、やってみてもいいかな。

笑って、ちょっとほろりとして、そして観終われば、いっしょに何かをなしと
げた気持ちになるすっきりとした作品。

東京では3月10日から銀座のシネスイッチで。全国順次公開。
公式ページ:http://www.saintjacques.jp/index.html


作品はこちら・2
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タイトル:『パリ、ジュテーム』
製作: フランス・ドイツ・リヒテンシュタイン・スイス /2006年
原題:Paris, je t'aime 英語題:Paris, I Love You
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■STORY&COMMENT
コーエン兄弟、トム・ティクヴァ、グリンダ・チャーダ、オリヴィエ・アサイ
ヤス、アレクサンダー・ペイン、諏訪敦彦、などなど、多彩な18組の監督によ
る18編のオムニバス作品。
18編の作品は、どれもパリのどこか一点(一地域)を舞台に繰り広げられる。
あ、ここ通ったことある! てな喜びも、おー、こんなところがあるのか。て
な感心もあって、朝、昼、夜、世界でいちばん人気が高いといわれる街の様々
な風景を堪能できる。

物語はジャンルも内容も多彩。何かとの「出会い」が一応の共通テーマとして
あるのかな、と思うけれど、青春もあれば老年期もあるし、パリならではの多
民族の生活もある。
ドラマ風も、ファンタジー風も、ホラー調もあって、観る側は、自分でも知ら
なかった自身の意外な好みを発見することもであるだろう。
今まで出会うことのなかった、好きになれそうな監督や役者と出会える贅沢な
「カタログ」でもある。

パリ好きにも、行ったことないけれど行ってみたいな、という人にも、パリは
どっちでもいいけど、人間のいろんな出会いはいいね、な人にもおすすめ。
いろんな側面で受け入れられるというのは、オムニバスの特徴だから、当然と
いえば当然だけども。

シャンテシネ、川崎チネチッタ等で公開中。3月10日よりMOVIXさいたまで。
以降全国順次公開。
公式ページ:http://www.pjt-movie.jp/

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感想・問い合わせはお気軽に。


編集・発行:あんどうちよ

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