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欧 州 映 画 紀 行
                 No.102
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「ここじゃない何処か」に行ってしまいたい、あなたのための映画案内。
週末は、ビデオ鑑賞でヨーロッパに逃避旅行しませんか?
フランス映画を中心に、おすすめの欧州映画をご紹介いたします。
★ 歴史とスリルと恋愛と、うまく詰まってます ★

作品はこちら
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タイトル:『ボン・ヴォヤージュ』
製作:フランス/2003年
原題:Bon voyage

監督・共同脚本:ジャン=ポール・ラプノー (Jean-Paul Rappeneau )
出演:イザベル・アジャーニ 、ジェラール・ドパルデュー、
   グレゴリ・デランジェール、ヴィルジニー・ルドワイヤン、
   イヴァン・アタル、ピーター・コヨーテ
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■STORY&COMMENT
1940年パリ。女優ヴィヴィアンヌはしつこくつきまとう男を誤って殺してし
まう。幼なじみで作家志望ののオジェに、男は事故で死んだと嘘をついて助
けを求めるが、オジェは遺体を運ぶ途中で事故に遭い、殺人の容疑者として
逮捕されてしまう。
数ヶ月後、ドイツ軍侵攻によりパリ陥落。政府要人や民衆がボルドーに逃れ
るなかに、大臣ボーフォールの愛人としてヴィヴィアンヌがいた。混乱に乗
じて脱獄したオジェも、真相を問いただすべく彼女を追ってボルドーへ向か
う。

歴史が大きく動く“その時その場所”で起こる人間ドラマを、豪華な俳優を
そろえて描く。
原爆の材料となる「重水」をドイツ軍から守るためイギリスに持ち出そうと
考える科学者もオジェらに合流。それを外交の切り札にしようとする大臣、
奪おうとするドイツ人が現れて、逃走劇は最後までスリルたっぷり。
そこにヴィヴィアンヌや、科学者に付き添う女子学生の愛の物語も加えられ、
ドラマチックな要素もコミカルな要素も、バランスよく配された娯楽大作だ。

特に、目に涙をためて頼み込まれたら、男は誰もそれを拒否できない、魔性
系女優ヴィヴィアンヌを演ずるイザベル・アジャーニは、本当にハマリ役。
ただ男を手玉にとるんじゃあ、嫌味だが、ヴィヴィアンヌはその都度その都
度、本気で助けてくれる人にすがりつく「天然」でもある。どうしても助け
てあげなきゃいけない気に、相手はさせられてしまう。
現実にこういうのがいたら、女性には著しく不人気だろう。だけれど映画の
キャラクターとしては、男性からも女性からも支持されそうな魅力を持って
いる。

個人的には、オジェの脱獄を手助けし、「重水」を守るのにも重要な役回り
を演じて、でも今ここでストーリーの説明をしても、なぜだか名前さえ出す
ことができなかった、イヴァン・アタル演ずるラウルが好きだ。大事な役目
は果たすのに最後までなんだか報われないし、その後どうしちゃったのかな、
とずっと気になっている。できれば消息を聞きたいなあ。

■COLUMN
突然だが「世界のどこでも生きていける」ことが、カッコイイと、私は思っ
ている。
「世界のどこでも生きていける」ために必要なのは、語学力であったり、度
胸であったり、「持ち前の明るさ」であったり。どれも私には欠けている。
最後の項目にいたっては、友人にもあまりそういうタイプがいないために、
「」でもつけなきゃ恥ずかしくて書けない。言葉では、よく目に耳にするけ
れど、実物見たことないんだな。
おまけに、車の運転免許を持っていないから、世界どころか、日本の中でも
ちょっと地方に行くと、不安で落ち着かない。

「世界のどこでも生きていける」なら、別に今ここに住んでなきゃいけない
わけじゃないけれどここにいる、と思うことができて、それって、他に選択
肢がないからここにいる、という追いつめられた感じを排してくれる。未来
ずっと、ここにいなきゃいけないわけじゃない軽やかさがあって、未来ずっ
とここにいなきゃいけないわけじゃないから、それは「世界がどんなになっ
てもどこかで生きていける」たくましさにもなる。

ヴィヴィアンヌのような不思議な愛嬌も、きっと「世界のどこでも生きてい
ける」につながる才能だ。彼女の場合、美貌が前提となっているのはもちろ
んだが、愛嬌こそが、決定的な影響力を持っていると思う。

あんなになりふり構わず愛嬌をふりまくことはできないけれど、んー、少し
素直に人に頼ってみる可愛げくらいなら、私にも身につくかも。うん。


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編集・発行:あんどうちよ

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