一覧へ ←前へ →次へ 登録フォーム HOME


=========================================================

欧 州 映 画 紀 行
                 No.125   07.03.22配信
=========================================================

「ここじゃない何処か」に行ってしまいたい、あなたのための映画案内。
週末は、ビデオ鑑賞でヨーロッパに逃避旅行しませんか?
フランス映画を中心に、おすすめの欧州映画をご紹介いたします。

★ 恋愛映画の王道が、春の陽に誘い出す ★

作品はこちら
---------------------------------------------------------------------------
タイトル:『プライドと偏見』
製作:イギリス/2005年
原題:Pride & Prejudice

監督:ジョー・ライト(Joe Wright)
出演:キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファディン、ロザムンド・パイク
   ドナルド・サザーランド、ブレンダ・ブレシン、サイモン・ウッズ
----------------------------------------------------------------------------
  ケータイ等に作品の情報を送る

■STORY&COMMENT
18世紀末イギリス。田舎町で暮らすベネット家は5人姉妹。その頃のイギリス
では女性に相続権がないため、父が亡くなれば遠縁の男子が家も土地も継いで
しまう。そんなわけで、母も姉妹たちも「資産家との結婚」が一番の関心事。
ある日、近所に独身の大富豪ビングリーが引っ越してくる。色めきだつ女たち。
長女のジェーンは舞踏会でビングリーといい雰囲気に。次女のリジーは彼の親
友のダーシーと言葉を交わすが、高慢な態度に反感を持ち……

高名なるジェーン・オースティン原作の『高慢と偏見』の映画化である。この
原作は大ヒット映画『ブリジット・ジョーンズの日記』の元ネタであり、恋愛
ストーリーの原点とも言われる。
別に格別の理由があるわけではないんだけれど、実は私は『ブリジット・ジョー
ンズの日記』を観たことがないし、原作本も読んだことがない。評判がよかっ
たというBBCがドラマ化したバージョンも観ていない。
そういうことで、オースティンの書いた「筋」に初めて出会った私である。

これぞ恋愛映画の王道って呼べるような作品を久々に観た。とっても面白かっ
た。いろいろな人がドラマにしたり元ネタにしたりしたくなる理由がよくわか
る。

ただお金持ちというだけでは納得しない、尊敬できて愛情を持てる男性と結婚
したい。相手が誰であろうと臆せずものを言う。「自分」を貫こうとする次女
のリジーは、いつの世も好かれるキャラクターだ。おそらく、たいていの女は、
実際の性格にかかわらず、「自分はリジータイプだ」と思うんじゃないかな。
誰もが持っていたいと思う性質を体現しているから。
白状すれば私もそうだ。小心者ではっきりものを言えないし、不必要に周りに
気を遣って結局あまり役に立たずに自分が疲れているだけ、なんてことがしば
しばなクセにね。

高慢だと思って嫌っている相手がどこか気になってしまう。嫌いだと思うのに、
なぜだかどこかでつながってしまう。好きだと気づいたときには素直になれな
かったり、時はすでに遅かったり。ハラハラドキドキの展開は、まあ、確かに
女性向きかもしれない。
でも人と関わることの怖さと楽しさを知っている人なら、誰もが「あはん、」
と思い当たる物語。女性も男性もそれを超越している人も、皆が楽しめる作品
だ。

ちょうど近々、CSチャンネルでBBCのドラマと『ブリジット・ジョーンズの日
記』を放送するらしいから、こちらも観てみるつもり。

■COLUMN
ベネット家、ビングリー家、ダーシー家、いろいろなお屋敷が登場する作品。
実際に各地の城を借りてロケを行っていて、それらの建物を眺めるのも楽しい。
舞踏会のきらびやかなシーンも、お茶や食事をするシーンのインテリアもすば
らしいが、私にとって魅力的だったのは、屋外のシーンだ。

暖冬暖冬と言われながら、3月に入って急に寒くなったここ東京。それでも春
分を過ぎたら、見事、季節相応に空気が緩んできた。
長く縮こまっていた暮らしを飛び出して、緩んだ空気を吸いたい。空を見上げ
たい。芝生の上で足を投げ出し上を見上げて、「あ、空、青い。」なんて無意
味なことをつぶやいてみたい。待ちに待った弛緩の春。

そんな季節には、広くてきれいな庭園と、広い空に堂々と構えたお城の映像を
見ると、ますます暖かな外の空気に向かいたくなる。数々の城や庭園、そこに
ある草木を眺めるだけでも、とても楽しい気分にしてくれて、出不精の私を誘
い出す。「広いとこ、空があるとこ、とにかく広ーいところでぽけっとしよう」。

実際には、そんなにくっきり晴れた様子は作品中に少なかったと思うのだけれ
ど、季節の誘いと映画の相乗効果にムズムズと心騒ぐ。

東京では気軽に古城巡りとはいかないけれど、ちょっと足を伸ばして、広い公
園にでも出かけてみようか。
でも、この季節に人が考えることって同じだから、きっと芝生の青さより空の
広さより、人の多さが気にかかるだろうなあ。

---------------

感想・問い合わせはお気軽に。

編集・発行:あんどうちよ

リンクは自由ですが、転載には許可が必要です。
一部分を引用する場合には、連絡の必要はありませんが、
引用元を明記してください。

Copyright(C)2004-2007 Chiyo ANDO

---------------


一覧へ ←前へ →次へ 登録フォーム

HOME