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欧 州 映 画 紀 行
                 No.165   08.02.28配信
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「ここじゃない何処か」に行ってしまいたい、あなたのための映画案内。
週末は、ビデオ鑑賞でヨーロッパに逃避旅行しませんか?
フランス映画を中心に、おすすめの欧州映画をご紹介いたします。

★ ありあまるほどのお金があったら、やってみたいこと。 ★

作品はこちら
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タイトル:『ヘンダーソン夫人の贈り物』
製作:イギリス/2005年
原題:Mrs Henderson Presents

監督:スティーヴン・フリアーズ(Stephen Frears)
出演:ジュディ・デンチ、ボブ・ホスキンス、ウィル・ヤング、
   クリストファー・ゲスト、ケリー・ライリー
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■STORY&COMMENT
1937年、ローラ・ヘンダーソンは、夫に先立たれ莫大な遺産を受け継いだ。勧
められた刺繍も、富豪未亡人らしい慈善活動も、どれもこれも肌に合わなかっ
た彼女は、思い切って、閉鎖された劇場を購入した。
ロンドンでは前代未聞のヌードレビュー公演を行ったウィンドミル劇場の事実
にもとづいた物語。

とにかくテンポよくポンポンと話が進むのが小気味よい。映画はお葬式のシー
ンからはじまって、劇場に出会い支配人を探し、10分そこそこで重要な設定は
皆完了する。じーっくりじわじわ話が始まるのもよいけれど、難しいこと考え
ないまま、とんとん拍子に話に乗っていけるのも楽しいもの。

だからって描写が足りないってことはない。凝縮したエピソードに、わがまま
で世間知らずだけれど、思い切りがよくて物語の主人公としては絶対に憎めな
いタイプのヘンダーソン夫人のキャラクターがしっかりにじみ出る。
ぶつかりつつもいいコンビになるヴァンダム支配人との出会いのシーンも、短
いやりとりの中に関係性や二人の性格が表れている。

歌あり踊りありの楽しい舞台が、映画の中でも再現されているから、華やかな
舞台を眺めた気分になれるところもいい。
ミュージカルが好きな人なら、ショーシーンではかなり楽しめるだろう。

世間からはずれたお金持ちヘンダーソン夫人の、押しが強くてわがままな、で
もかわいい行動がコミカルでおかしくて、吹き出すシーンもしばしば。
されど、時は第二次世界大戦にまっしぐらに向かっていく頃。先の大戦で息子
を亡くしている夫人が、心の奥に隠す悲しみも重なって、ただ華やかでコミカ
ルなだけでない厚みも、作品は持っている。

敵の爆弾も落ちてくる戦時中、娯楽に飢えた兵士がやってくるウィンドミル劇
場のモットーはWe Never Closed。社会が不安なとき、皆の心がすさんでいる
ときの、ショーや娯楽の役割もちょっと考えさせてくれた。

■COLUMN
よくある「宝くじあったらどうする?」という質問に「もっといい家に引っ越
す」と答えて、宝くじ当たってもまだ賃貸に住むんかい、とバカにされたこと
もある私。最近はようやく大人になったのか、「いいマンション買う」くらい
のことは言えるようになったけれど、「もしも大金持ちだったなら」の仮定話
では、発想の貧困さばかりが目立ってしまうだろう、永遠の貧乏性(症?)に
悩まされている。

大金が入ったら家を買うなどと言っている辺り、お金持ちじゃない証拠。住む
だの食うだの着るだのにはさっぱり頓着しないでいいのがお金持ちだ。
だから、富豪になったら、宇宙旅行に行くとか、豪華客船を貸しきりにして旅
に出るとか、値段がつかないような滅多にできない体験をしよう、ていうのは
ありだろう。
精鋭のクリエイターを連れてきて、自分好みのゲームを作ってもらうとか、好
きな監督を連れてきて、映画を作ってもらうとか、究極の個人的嗜好を満足さ
せるのも、富豪になれば可能だろうか。

この作品のように、劇場を買うというのもいい考えだ。自分自身に使うお金は
すでに足りていれば、あとは、才能ある他人も巻き込んで、食って生きること
には直接関係しない「文化」にお金を回すのは、人に話したってなんとなくかっ
こいい。

そう考えていくと、我が「欧州映画紀行」では、富豪になったら素敵な映画館
でもひとつ作ろうか。映画製作に投資するのもいいけれど、どんなにいい映画
を作っても、買い付けてきても、それを上映するところがなくっちゃどうしよ
うもないと漏れ聞くから、観たかったけれど日本未公開だったヨーロッパの作
品をかける映画館をひとつ、ぽんと興してみよう。

でもなあ、きっと、自分好みの映画を上映してるだけじゃあ、お金の問題じゃ
なく成功しないんだろうなあ。自分が観て楽しいだけなら「映画館」じゃなく
て専用の「映写室」でいいわけで。わざわざ映画館を作ったなら、映画の発展
に寄与したり、文化の発信地になったり、映画好きの若者に学ぶ場を与えたり、
まあ、そんなことしていかないといけないわけだ。

富豪もラクじゃないなあ。考えてたら疲れてきた。
もしも大富豪だったら、皆さん何します?

■DVD INFORMATION
ヘンダーソン夫人の贈り物 デラックス版
価格:¥ 3,441(定価:¥ 3,990)
http://www.amazon.co.jp/dp/B000W6H24E/ref=nosim/?tag=oushueiga-22

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編集・発行:あんどうちよ

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